人物の『目線』ひとつで、スナップショットがもつ意味を大きく変える方法!

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 メリークリスマス。みかどです。

 SS 撮影テクニック第二弾の今回は、スナップショット内に写る人物の『目線』を考慮して構図を安定させたり、ストーリー性をもたせたりする方法について簡単に紹介していきます。

 初回である前回のエントリの中で説明しきれなかった部分の補足的な内容なので、前回のエントリをまだ読まれていない方はそちらも併せてご覧ください。

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基本 - 人物の目線を考慮した構図

自然体を切り取るには、あえて目線を外してみる

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▲ 日の丸構図 + カメラ目線は、ぽや~んとした雰囲気を演出するのに使える

 人間には、顔を優先的に認識する性質があります。カメラ目線の写真は見る人の意識をより一層引きつけることができるため、顔に注目させたい場合はカメラ目線にするのが効果的です。証明写真やプリクラなどがその証左です。

 ただ、カメラ目線の写真は日常のワンシーンを切り取ったような自然体のスナップショットには不向きです。被写体がカメラを見ているということは、カメラの存在に気付いていることになります。カメラを向けられていることがわかっていながら自然体でいる、というのは難しいですよね。

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▲ カメラ目線(左図)と目線を外したもの(右図)

 そこで、あえて目線を外すことで、被写体があたかもカメラの存在に気付いていないかのような自然な印象を与えることができます。目当ての電車がなかなか来なくて待ち惚けているような情景は、右の図のほうが表現できているかと思います。

目線の方向にスペースをもたせて安定した構図に

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▲ カメラを左右に平行移動させて、人物を左右に寄せた

 こちらの2枚のスナップショットは、前回のエントリで紹介した三分割法をもとに人物を左右に寄せたものです。構図が安定しているはどちらでしょうか?

 左の図には人物の目線の方向にスペースがないため、向かって左側に歩いているようで落ち着かず、どこか窮屈な印象を与えてしまっています。反面、目線の方向にスペースをもたせた右の図は、その場に安定して佇んでいる感じがしますね。

 このように、人物をアップで撮影する場合は人物の目線の方向にスペースをもたせことで圧迫感のない安定した写真にすることができます。

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▲ 目線を向ける方向は、対角線にだいたい一致するようにしておいた

 したがって、左の図でもこのように人物の目線さえ変えてしまえば構図を安定させることができます。

 なお、カメラを平行移動するには Alt + Ctrl + Shift キーを同時押ししながら WASD キーもしくは矢印キーを押します。カメラの操作についてはこちらのエントリで解説しておりますので、併せてご覧ください。

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目線と反対の方向にスペースをもたせて動きのある構図に

 ただ、先の左の図が悪いという訳ではありません。先ほど「左の図は落ち着かず、どこか窮屈な印象を与えてしまう」と書きましたが、"安定していない"ということは裏を返せば"動きのある構図にできる"ということです。動いてるんだから安定してなくて当然ですね。

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▲ 一歩踏み込んで薙ぎ払ったかのような動きが見て取れるだろうか

 動きのある構図にするには、目線と反対の方向に「この空間を動いてきた」ということがわかるようなスペースを空けるとよいです。

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▲ これは同様の方法で人物の戸惑い、不安感を表現したもの

 この例では、画面奥の方向に続く道と人物の方向を合わせないことで道に迷っている様子を、目線と反対方向にスペースを多くとることで人物の不安感をそれぞれ表現しています。

発展 - スナップショットにストーリー性をもたせるには

まずは人物の目線に意味をもたせてみる

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▲ これは対角線構図に則って撮影したもの。右図は補助線つきのもの

 先ほど「人間には顔、特に目を優先的に認識する性質がある」と書きましたが、加えて人物の目線の先にあるものを無意識に追う性質があります。それを利用して写真を見た人の視線を誘導し、誘導した視線の先になにか意味のある目的物があれば見た人はスナップショットの中のストーリーを理解し、納得することができます。

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▲ 少しずれてしまっているが、この例は三分割法と二分割法に則って撮影している(右図)

 また、人物の目線に意味をもたせるには、その人物の目的をハッキリさせることが手っ取り早いです。こちらの例では「路線図を見る」という目的がハッキリしているので、見た人は「これから電車に乗るんだな」というストーリーを容易に想像することができます。

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▲ 地面にあるなにかを見つけて、興味津々に覗き込んでいる

 視線の先の目的物は、なにも写真の中だけとは限りません。この例ではカメラ目線 = 地面に置かれた"何か"が目的物になっています。この"モノから目線"、ハラハラするスリラー映画や、定点カメラが野生動物に見つかった時の映像なんかでよく目にしますよね。

 視線の先の"何か"がハッキリしない分、このスナップショットの意味は見る人の想像力に委ねられることになります。そこにあるモノをただ写すだけでなく、そうやって想像力を掻き立てることができるのも写真の面白さですね。

奥行き感と目線によるストーリー性の違い

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▲ 歩んできた道を振り返ることで過去を演出する

 奥行きのある背景で撮影する場合、人物の目線を奥行き方向に向かせることで「この道を通ってきた」という「過去」を演出することができます。

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▲ 道の先に向けられた目線は、奥に進む意思表示でもある

 逆に、これから進む方向に目線を向ければ「この道を進んでいく」という「未来」を演出することができます。

 つまり、背景に奥行き感があるときは人物の目線ひとつで過去と未来のどちらも演出することができるのです。

まとめ

  • 構図を安定させるには目線の方向にスペースをもたせる。構図を安定させると、人物には静止して落ち着いた印象を、見た人には安心感のある印象を与えることができる。
  • 逆に動きのある構図にするには目線の反対側にスペースをもたせる。構図を不安定にさせると、人物にはスピード感不安感を、見た人には圧迫感迫力などを与えることができる。
  • スナップショットにストーリー性をもたせるには、まずは人物の目線に意味をもたせてみる。目線の先に目的物があれば、見た人がストーリーを想像しやすくなる。
  • 背景に奥行き感がある場合、人物の目線や身体の向きによって過去や未来の行動を示唆し、時間の流れを演出することができる。

 

ロケ地

Ueno SIM Estate
http://maps.secondlife.com/secondlife/Ueno/44/127/24

Ritsumeikan_GCOE-JDH
http://maps.secondlife.com/secondlife/rits%20gcoe%20jdh/76/114/22

Maison de L'amitie
http://maps.secondlife.com/secondlife/Orchid/175/90/23

Mopire City
http://maps.secondlife.com/secondlife/Mopire/236/170/1107

Shijima
http://maps.secondlife.com/secondlife/Shijima/112/85/40

Lingnan Drama Island (通称:樹海SIM)
http://maps.secondlife.com/secondlife/Lingnan%20Drama%20Island/78/31/3644

ほか私有地、順不同

 

参考

にしにゃー (2011)『【PHOTO】橋本先生のポートレート講座 8.1 構図と目線』
http://digitalis.seesaa.net/article/233915190.html

熊谷直夫 (2016)『ポートレート撮影の裏ワザ「目線外し」 - クマさんのカメラ上達講座』
https://news.mynavi.jp/article/20160825-kuma_camera/

神楽坂つむり (2017)『【写真】自転車を綺麗にカメラ撮影するためのコツ教えます~中級編~』
https://jitensha-hoken.jp/blog/2017/02/howto-take-a-picture-2/

 鍋坂樹伸 (2014)『Web制作と運営のための 写真撮影&ディレクション教本』,株式会社マイナビ